Fate/StayNightを見て少し感激

Fate/Stay Night を見て。少し感激。

  

聖剣“エクスカリバー”を手に取ろうと思った時から、また、聖剣を取った時から、彼女は人であることを放棄する覚悟であった筈であるのだが、その剣を取った者の運命を彼女は予期できなかったのであろう。当たり前のことではあるのだが。

 

さりとて、見渡す限りにおいては他に適任者の存在は無く、事は急を要していたのであろう。エクスカリバーを手に取る事は、緊急避難の措置であったのだ。

 

彼女は使命と責務を完遂した。それが故の災いを一身に受ける事になった、成功という名の災いと苦しみを受けるのであろう。

 

人は苦労を伴に分かち合えても、成功の果実を分かち合えないと謂うのだ。

 

もともと、王の適任者など誰もいないのだ。選定をやり直ししたところで無意味のはずなのだが、自身の不遇を自身の責任と自身の適格性の欠如が原因と考えてしまうと、「自分が王としての適格者では元々なかったのではないのか」という想いだけが膨らんでいく。

 

なにより、聖剣“エクスカリバー”が彼女を王として認めているのではないか。それ故、その剣を手に取る事のできるものは人間として生きることを最早、許されないのであろう。王として生きることのみが許されるのではないのか。

 

王として生き、王として滅ぶ。そして、彼女は、その使命を全うしてきたのではないのか。

 

「王は国を守った。しかし、国は王を守らなかった」。それだけの事だ。

 

しかし、彼女にはその因果の法則が見えない。人の欲望や身勝手さがどういうものなのかを理解できない。運命は時に過酷なものであるのだが、彼女がヘマをやらかした訳ではないという事実(真理)を認識・理解できない。

 

建国・創業は偉業であるが、守成はなお難し。(彼女の仕事がなくなってしまったのだな。使命を果たしえてしまったということなのだが。)

 

 

「何もかも支配できないのならば王という超越者は不要なのだ。」「そんな事だから、アーサー王。おまえは国によって滅ぼされたのだ。」

「ああ、その通だ。」「しかし、英雄王。そんな事だから、おまえは、国を滅ぼしたのだ。」

 

笑える。たとえ物語りだとしても、そこに真実が見えるが故に笑える。

 

どの生き方が賢いのだろうか。彼女には彼女の行き方しか決して取り得ないのであろう。であるならば。

 

甲冑に身を纏い、剣を携え進む「ジャンヌダルク」の様な少女王。真に身に宿すのは、国を守る決意のみ。

 

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